1.番付
| 幕内 | ||
| 東 | 位 | 西 |
| 釈迦ヶ嶽 | 大関 | 國見崎 |
| 雷電 | 関脇 | 関ノ戸 |
| 金碇 | 小結 | 友綱 |
| 八雲山 | 前1 | 達ヶ関 |
| 今碇 | 前2 | 戸田川 |
| 佐渡ヶ嶽 | 前3 | 大江嶋 |
| 二段目 | ||
| 東 | 位 | 西 |
| 外ヶ濱 | 二1 | 礒碇 |
| 柏戸 | 二2 | 志賀ノ浦 |
| 森山 | 二3 | 獅子ヶ嶽 |
| 岩ヶ楯 | 二4 | 里見山 |
| 甲山 | 二5 | 荒飛 |
| 山分 | 二6 | 大山 |
| 鶴渡 | 二7 | 秀ノ山 |
| 獅子垣 | 二8 | 谷川 |
1-1.三役
三役6名のうち、先場所からの連続出場は、西関脇・関ノ戸と西小結・友綱の2名のみですので、まずはこの2名に注目してみましょう。
1-1-1.西関脇・関ノ戸
関ノ戸(179㎝131㎏)は3場所連続の西関脇となり、三役在位8場所目で34歳のベテランです。11場所連続で勝ち越し(3,6,3,3,5,4,5,3,4,4,7)と非常に安定しており、最近では先場所と5場所前に優勝相当の成績です。11場所連続での勝ち越しの成績は以下の通りです。
| 西暦 | 元号 | 年 | 月 | 番付 | 成績 |
| 1765 | 明和 | 2 | 03 | 西前3 | 5勝2敗1休 |
| 10 | 西前3 | 6勝0敗2無 | |||
| 1766 | 3 | 03 | 西前2 | 5勝2敗1休1預 | |
| 10 | 西小結 | 4勝1敗1休2分 | |||
| 1767 | 4 | 03 | 西前3 | 6勝1敗1分 | |
| 10 | 西関脇 | 5勝1敗2分1預 | |||
| 1768 | 5 | 09 | 西関脇 | 5勝0敗2休1無 | |
| 11 | 東 | 5勝2敗1無 | |||
| 1769 | 6 | 04 | 西小結 | 4勝0敗2休1分 | |
| 10 | 西関脇 | 5勝1敗1休1分 | |||
| 1770 | 7 | 03 | 西関脇 | 7勝0敗1分 |
なお、ここ3場所の成績が以下の通り、シミュレーションで決めた大関昇進の条件を満たしており、ちょうど今場所が「大関相当」の最初の場所となります。今後は番付を記す場合は「(大関相当)」を付記します。
- 3場所連続で、三役以上 → 西小結、西関脇、西関脇
- 3場所連続で、勝ち越数3以上 → 4、4、7
- 引き分け・休みを除く3場所の勝率が7割以上 → 16/17=9割4分
現在引き分けを挟んで8連勝と非常に勢いがあり、連勝記録にも注目です。
1-1-2.西小結・友綱
友綱(167cm)は3場所連続の西小結となり、三役在位9場所目で36歳のベテランです。関ノ戸と共に現在の大相撲を引っ張っているといえるでしょう。8場所連続で勝ち越し(3,1,1,5,6,3,5,5)と安定しており、5場所前に優勝同点、4場所前に2回目の優勝相当、直近2場所も勝ち越し5と常に優勝争いに加わっています。8場所連続での勝ち越しの成績は以下の通りです。
| 西暦 | 元号 | 年 | 月 | 番付 | 成績 |
| 1766 | 明和 | 3 | 10 | 西関脇 | 3勝0敗3休2分 |
| 1767 | 4 | 03 | 西前1 | 2勝1敗1休1分3預 | |
| 10 | 西前1 | 3勝2敗3休1預 | |||
| 1768 | 5 | 09 | 西小結 | 5勝0敗2休1預 | |
| 11 | 西 | 6勝0敗1分1無 | |||
| 1769 | 6 | 04 | 西前1 | 4勝1敗1休1分 | |
| 10 | 西小結 | 6勝1敗1休 | |||
| 1770 | 7 | 03 | 西小結 | 6勝1敗1休 |
シミュレーションで決めた大関昇進条件でみると、以下の通りです。
- 3場所連続で、三役以上 → 西小結、西小結、西小結
- 3場所連続で、勝ち越数3以上 → 5、5、今場所
- 引き分け・休みを除く3場所の勝率が7割以上 → ここ2場所12勝2敗
今場所は「大関相当挑戦」の場所となり、勝ち越し3以上であれば、「大関相当昇進」となります。
1-1-3.その他の三役力士
東関脇・雷電(後の名大関・雷電とは別人)は、10年前の1760年(宝暦10年)10月場所に東小結として一場所だけ番付に載りました。しかし、雲州松江藩のお抱え力士ということもあり、その後は京都・大阪の興行のみ出場していました。弟子の釈迦ヶ嶽に付き添う形で10年ぶりの江戸での相撲となります。
東大関・釈迦ヶ嶽は223㎝・172㎏と看板(としての)力士としても十分な体格ですが、本場所に出場するようで、21歳とまだ若く今場所の注目力士です。
西大関・國見崎、東小結・金碇は今場所のみの番付で相撲も取らないため、恐らく看板力士です。
1-2.前頭
6名のうち今場所初番付は東前頭1・八雲山のみです。
西前頭1・達ヶ関(189cm162kg 20歳:後の大横綱・谷風)は、3場所前から看板大関として8番取りました。あくまで看板力士としての取り組みが中心で、今場所から実力本位の力士としてやり直すため、西前頭1からの再スタートとなります。
東前頭2・今碇は初土俵から21場所目ですが、前頭と二段目を行ったり来たりの成績で、最近は休みや番付外も多く、本場所での相撲は6場所ぶりとなります。
西前頭2・戸田川は先場所初めての幕内で3勝4敗と1点の負け越しでしたが、西前頭2のまま留まりました。
東前頭3の佐渡ヶ嶽は初土俵から18場所目で、初の前頭(新入幕)となりましたが、今場所は休場です。
西前頭3・大江嶋は先場所初めての幕内で、3連勝しましたが、役力士との対戦はなく、西前頭3のまま留まりました。
1-3.二段目
1-3-1.幕内経験力士
東二1・外ヶ濱は6場所前に初めて西小結で登場しましたが、その後は二段目と前頭を行ったり来たりの状態です。
西二1・磯碇は、既に43歳の大ベテランで、西関脇で初登場してから11場所三役を維持しましたが、ここ4場所は二枚目に落ちています。
1-3-2.幕内未経験力士
| 番付 | しこ名 | 初土俵 | |||||
| 西暦 | 元号 | 年 | 月 | 番付 | 成績 | ||
| 東二2 | 柏戸 | 1760 | 宝暦 | 10 | 10 | 西二9 | 不明 |
| 西二2 | 志賀ノ浦 | 1768 | 明和 | 5 | 11 | 西二5 | 4勝4敗1預 |
| 東二3 | 森山 | 1764 | 明和 | 元 | 10 | 東二2 | 6勝2敗 |
| 西二4 | 里見山 | 1763 | 宝暦 | 13 | 10 | 西二3 | 2勝1敗 |
| 東二5 | 甲山 | 1760 | 宝暦 | 10 | 10 | 東二9 | 不明 |
| 西二5 | 荒飛 | 1765 | 明和 | 2 | 10 | 東二3 | 1勝3敗1無 |
| 東二6 | 山分 | 1768 | 明和 | 5 | 11 | 西二6 | 5勝2敗 |
| 西二6 | 大山 | 1768 | 明和 | 5 | 11 | 東二6 | 4勝2敗1無 |
| 西二7 | 秀ノ山 | 1770 | 明和 | 7 | 3 | 西二6 | 5勝3敗2預 |
東二3・森山は1764年(明和元年)10月場所に、千田川として東二2で初土俵を踏み、6勝2敗と好成績を上げました。以降はあまり番付に載らず、今場所8場所ぶりに番付に載りました。大阪出身のため、江戸以外の場所に参加していたのかもしれません。
西二7・秀ノ山は先場所、西二6で初土俵を踏み、5勝3敗2預とまずまずの成績でした。今場所も近い番付で挑みます。
1-3-3.初土俵力士
- 東二4・岩ヶ楯
- 東二7・鶴渡
- 東二8・獅子垣
- 西二8・谷川
1-3-4.休場力士
| 番付 | しこ名 | 初土俵 | |||||
| 西暦 | 元号 | 年 | 月 | 番付 | 成績 | ||
| 西二2 | 志賀ノ浦 | 1768 | 明和 | 5 | 11 | 西二5 | 4勝4敗1預 |
| 西二3 | 獅子ヶ嶽 | 1759 | 宝暦 | 9 | 3 | 西二4 | 不明 |
| 西二4 | 里見山 | 1763 | 宝暦 | 13 | 10 | 西二3 | 2勝1敗 |
| 西二8 | 谷川 | 1770 | 明和 | 7 | 11 | 西二8 | 全休 |
西二2・志賀ノ浦は先場所、東二2で三役力士とも対戦して4勝4敗。番付は大きく変わらず今場所は休場です。
西二3・獅子ヶ嶽は西二4で初土俵を踏み、翌場所は一気に西関脇に抜擢されましたが、すぐに二枚目に戻り、以降は二枚目18場所目となります。今場所全休でそのまま引退となりました。
1-4.優勝争い・注目力士
直近5場所の優勝・同点力士の成績を見ると、以下のとおりです。
| 西暦 | 元号 | 年 | 月 | 優 | 優勝相当 | ||
| 1768 | 明和 | 5 | 09 | 優 | 西関脇 | 関ノ戸 | 5勝1無1休 |
| 同 | 東小結 | 雪見山 | 5勝1預1休 | ||||
| 同 | 西小結 | 友綱 | 5勝1預1休 | ||||
| 11 | 優 | 西 | 友綱 | 6勝1分1無 | |||
| 同 | 東 | 雪見山 | 6勝1分1無 | ||||
| 1769 | 明和 | 6 | 04 | 優 | 西前2 | 越ノ海 | 6勝 |
| 10 | 優 | 西前1 | 越ノ海 | 7勝1敗 | |||
| 同 | 西前3 | 稲川 | 7勝1敗 | ||||
| 1770 | 7 | 03 | 優 | 西関脇 | 関ノ戸 | 7勝1分 | |
5場所中、越ノ海と関ノ戸が2回ずつ優勝相当です。残りの1回は友綱で、優勝同点も1回あります。さらに、雪見山が優勝同点2回、稲川が先々場所、優勝同点と続いております。この中で今場所出場するのは、西関脇(大関相当)・関ノ戸と西小結の友綱の2名です。
関ノ戸は大関相当になったばかりで、友綱は「大関相当昇進」がかかった場所となり、そのあたりも注目です。
今場所もこの2人の優勝争いとみられますが、共に30半ばのベテランのため、20代前半の東大関・釈迦ヶ嶽、西前頭1・達ヶ関にも注目です。釈迦ヶ嶽は今場所初めての場所、達ヶ関は看板大関から実力相撲としてやり直す初めての場所であり、どの程度できるかは未知数です。
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