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1770年(明和7年)11月場所 番付評

目次

1.番付

1-1.三役

三役6名のうち、先場所からの連続出場は、西関脇・関ノ戸と西小結・友綱の2名のみですので、まずはこの2名に注目してみましょう。

1-1-1.西関脇・関ノ戸

関ノ戸(179㎝131㎏)は3場所連続の西関脇となり、三役在位8場所目で34歳のベテランです。11場所連続で勝ち越し(3,6,3,3,5,4,5,3,4,4,7)と非常に安定しており、最近では先場所と5場所前に優勝相当の成績です。11場所連続での勝ち越しの成績は以下の通りです。

西暦元号番付成績
1765明和203西前35勝2敗1休
10西前36勝0敗2無
1766303西前25勝2敗1休1預
10西小結4勝1敗1休2分
1767403西前36勝1敗1分
10西関脇5勝1敗2分1預
1768509西関脇5勝0敗2休1無
115勝2敗1無
1769604西小結4勝0敗2休1分
10西関脇5勝1敗1休1分
1770703西関脇7勝0敗1分

なお、ここ3場所の成績が以下の通り、シミュレーションで決めた大関昇進の条件を満たしており、ちょうど今場所が「大関相当」の最初の場所となります。今後は番付を記す場合は「(大関相当)」を付記します。

  • 3場所連続で、三役以上 → 西小結、西関脇、西関脇
  • 3場所連続で、勝ち越数3以上 → 4、4、7
  • 引き分け・休みを除く3場所の勝率が7割以上 → 16/17=9割4分

現在引き分けを挟んで8連勝と非常に勢いがあり、連勝記録にも注目です。

1-1-2.西小結・友綱

友綱(167cm)は3場所連続の西小結となり、三役在位9場所目で36歳のベテランです。関ノ戸と共に現在の大相撲を引っ張っているといえるでしょう。8場所連続で勝ち越し(3,1,1,5,6,3,5,5)と安定しており、5場所前に優勝同点、4場所前に2回目の優勝相当、直近2場所も勝ち越し5と常に優勝争いに加わっています。8場所連続での勝ち越しの成績は以下の通りです。

西暦元号番付成績
1766明和310西関脇3勝0敗3休2分
1767403西前12勝1敗1休1分3預
10西前13勝2敗3休1預
1768509西小結5勝0敗2休1預
11西6勝0敗1分1無
1769604西前14勝1敗1休1分
10西小結6勝1敗1休
1770703西小結6勝1敗1休

シミュレーションで決めた大関昇進条件でみると、以下の通りです。

  • 3場所連続で、三役以上 → 西小結、西小結、西小結
  • 3場所連続で、勝ち越数3以上 → 5、5、今場所
  • 引き分け・休みを除く3場所の勝率が7割以上 → ここ2場所12勝2敗

今場所は「大関相当挑戦」の場所となり、勝ち越し3以上であれば、「大関相当昇進」となります。

1-1-3.その他の三役力士

東関脇・雷電(後の名大関・雷電とは別人)は、10年前の1760年(宝暦10年)10月場所に東小結として一場所だけ番付に載りました。しかし、雲州松江藩のお抱え力士ということもあり、その後は京都・大阪の興行のみ出場していました。弟子の釈迦ヶ嶽に付き添う形で10年ぶりの江戸での相撲となります。

東大関・釈迦ヶ嶽は223㎝・172㎏と看板(としての)力士としても十分な体格ですが、本場所に出場するようで、21歳とまだ若く今場所の注目力士です。

西大関・國見崎、東小結・金碇は今場所のみの番付で相撲も取らないため、恐らく看板力士です。

1-2.前頭

6名のうち今場所初番付は東前頭1・八雲山のみです。

西前頭1・達ヶ関(189cm162kg 20歳:後の大横綱・谷風)は、3場所前から看板大関として8番取りました。あくまで看板力士としての取り組みが中心で、今場所から実力本位の力士としてやり直すため、西前頭1からの再スタートとなります。

東前頭2・今碇は初土俵から21場所目ですが、前頭と二段目を行ったり来たりの成績で、最近は休みや番付外も多く、本場所での相撲は6場所ぶりとなります。

西前頭2・戸田川は先場所初めての幕内で3勝4敗と1点の負け越しでしたが、西前頭2のまま留まりました。

東前頭3の佐渡ヶ嶽は初土俵から18場所目で、初の前頭(新入幕)となりましたが、今場所は休場です。

西前頭3・大江嶋は先場所初めての幕内で、3連勝しましたが、役力士との対戦はなく、西前頭3のまま留まりました。

1-3.二段目

1-3-1.幕内経験力士

東二1・外ヶ濱は6場所前に初めて西小結で登場しましたが、その後は二段目と前頭を行ったり来たりの状態です。

西二1・磯碇は、既に43歳の大ベテランで、西関脇で初登場してから11場所三役を維持しましたが、ここ4場所は二枚目に落ちています。

1-3-2.幕内未経験力士

番付しこ名初土俵
西暦元号番付成績
東二2柏戸1760宝暦1010西二9不明
西二2志賀ノ浦1768明和511西二54勝4敗1預
東二3森山1764明和10東二26勝2敗
西二4里見山1763宝暦1310西二32勝1敗
東二5甲山1760宝暦1010東二9不明
西二5荒飛1765明和210東二31勝3敗1無
東二6山分1768明和511西二65勝2敗
西二6大山1768明和511東二64勝2敗1無
西二7秀ノ山1770明和73西二65勝3敗2預

東二3・森山は1764年(明和元年)10月場所に、千田川として東二2で初土俵を踏み、6勝2敗と好成績を上げました。以降はあまり番付に載らず、今場所8場所ぶりに番付に載りました。大阪出身のため、江戸以外の場所に参加していたのかもしれません。

西二7・秀ノ山は先場所、西二6で初土俵を踏み、5勝3敗2預とまずまずの成績でした。今場所も近い番付で挑みます。

1-3-3.初土俵力士

  • 東二4・岩ヶ楯
  • 東二7・鶴渡
  • 東二8・獅子垣
  • 西二8・谷川

1-3-4.休場力士

番付しこ名初土俵
西暦元号番付成績
西二2志賀ノ浦1768明和511西二54勝4敗1預
西二3獅子ヶ嶽1759宝暦93西二4不明
西二4里見山1763宝暦1310西二32勝1敗
西二8谷川1770明和711西二8全休

西二2・志賀ノ浦は先場所、東二2で三役力士とも対戦して4勝4敗。番付は大きく変わらず今場所は休場です。

西二3・獅子ヶ嶽は西二4で初土俵を踏み、翌場所は一気に西関脇に抜擢されましたが、すぐに二枚目に戻り、以降は二枚目18場所目となります。今場所全休でそのまま引退となりました。

1-4.優勝争い・注目力士

直近5場所の優勝・同点力士の成績を見ると、以下のとおりです。

西暦元号優勝相当
1768明和509西関脇関ノ戸5勝1無1休
東小結雪見山5勝1預1休
西小結友綱5勝1預1休
11西友綱6勝1分1無
雪見山6勝1分1無
1769明和604西前2越ノ海6勝
10西前1越ノ海7勝1敗
西前3稲川7勝1敗
1770703西関脇関ノ戸7勝1分

5場所中、越ノ海と関ノ戸が2回ずつ優勝相当です。残りの1回は友綱で、優勝同点も1回あります。さらに、雪見山が優勝同点2回、稲川が先々場所、優勝同点と続いております。この中で今場所出場するのは、西関脇(大関相当)・関ノ戸と西小結の友綱の2名です。

関ノ戸は大関相当になったばかりで、友綱は「大関相当昇進」がかかった場所となり、そのあたりも注目です。

今場所もこの2人の優勝争いとみられますが、共に30半ばのベテランのため、20代前半の東大関・釈迦ヶ嶽、西前頭1・達ヶ関にも注目です。釈迦ヶ嶽は今場所初めての場所、達ヶ関は看板大関から実力相撲としてやり直す初めての場所であり、どの程度できるかは未知数です。

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この記事を書いた人

子供の頃、千代の富士全盛の時代から、40年以上相撲をみてきました。それでも自分の生まれる前の力士のことはよく分からず、今の横綱・大関争いを見るのと同じ感覚で、昔の相撲を何とかシミュレーションしてみたく、もがいてみました。

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